平成19年度に引き続き、平成19年2月終了のNEDOプロジェクト「生体高分子立体構造情報解析」の成果を受け、また平成20年度開始のNEDOプロジェクト「創薬加速に向けたタンパク質構造解析基盤技術開発」と連携しまして、蛋白質立体構造解析NEDO特別講座を開催いたします。
本講座は、東京大学、名古屋大学、大阪大学の3拠点が各々独自の技術を生かしながら、相互に連携し、創薬に資する基盤技術に関して人材育成を通し産業界に還元する目的で実施するものです。
生体高分子立体構造情報解析プロジェクトとは
平成14年度〜平成18年度に実施した、NEDOプロジェクト「生体高分子立体構造情報解析」に関する概要は、下記ページを参照して下さい。
生体高分子立体構造情報解析プロジェクトの紹介;
http://www.nedo.go.jp/activities/portal/p02027.html
NEDOバイオテクノロジー・医療機器開発部のプロジェクト案内;
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/pamphlets/bunya/05baio.html
「創薬加速に向けたタンパク質構造解析基盤技術開発」プロジェクトとは
平成19年度から、上記生体高分子立体構造情報解析の後継プロジェクトという位置づけで、経済産業省直轄事業として開始され、平成20年度〜平成24年度にNEDO事業として実施予定。
経済産業省プロジェクト公募関連情報(基本計画、平成19年度実施方針など);
http://www.meti.go.jp/policy/kenkyu_kaihatu/structure/structure.htm
技術概要
担当教官からの技術紹介
分子認識解析講座:東京大学
NMR(核磁気共鳴法)はタンパク質などの生体高分子の高次構造情報を、タンパク質分子が本来あるべき生理的な溶液条件下において観測することのできる最も強力な手法です。NMRを用いることにより、タンパク質の三次元(立体)構造の決定をはじめ、タンパク質複合体の相互作用、タンパク質分子の運動性など多種多様な構造情報を抽出することができます。本講座において特にフォーカスを当てるNMRによる分子間相互作用解析は、ドラッグ・ディスカバリーの観点からも、重要なものといえます。例えば、レセプターとリガンド分子などのタンパク質・タンパク質複合体の結合面に関する構造情報は、結合を阻害する低分子化合物ならびに抗体の創出において重要な知見を与えますし、タンパク質・低分子化合物間の相互作用解析は、ヒット化合物の探索および候補化合物の最適化をする上で有用な手法となると考えられます。
構造生物学講座:名古屋大学
膜タンパク質や複雑な生体高分子の構造研究は、基礎生物学研究だけでなく、新しい創薬の対象を考える上でも、また創薬の補助としても重要な研究課題となると思います。膜タンパク質やタンパク質複合体のように、これまで解析が困難であった研究対象の構造研究には、電子顕微鏡技術が有力な研究手法となりつつあります。脂質膜内にある状態で膜タンパク質を高分解能で構造解析するには、極低温電子顕微鏡を用いた電子線結晶学が力を発揮しています。結晶化できない複雑な複合体などの場合には単粒子解析法での立体構造解析が有効です。さらに、電子線トモグラフィーなどは細胞や組織のような複雑な立体構造を解析できる新しい方法として注目され始めております。電子顕微鏡法はその他にも、シャドーイングや凍結割断レプリカ、超薄切片法などをはじめとする多様な方法があり、目的に応じて大きな力を発揮します。特に微量な試料から構造情報などを取得できますので、これらの技術を使いこなすと、これまでには考えられなかった新しい分野を拓くことが出来る可能性があります。
蛋白質計算科学講座:大阪大学
分子シミュレーションでは、実験では得られにくい大量のデータ処理や、実験を行う前に様々の条件や対象の可能性を考察し、創薬過程の様々な局面で、作業を大幅に合理化できることが期待されております。特に、百万から1千万件オーダーの極めて多くの低分子ライブラリから、ドラッグ候補となりうる分子を合理的に選択することができれば、創薬開発の時間と費用とを大きく削減できます。この目的のため、これまでNEDO生体高分子構造解析プロジェクトにて、蛋白質とそのリガンドを対象とした分子シミュレーションのソフトウェアを開発してまいりました。本講座では、これらのソフトウエェア開発に携わった研究者を中心に、計算科学によるドラッグ・ディスカバリーの手法を、基礎から応用まで紹介し、実習も行う事によって身につけていただきます。蛋白質の立体構造に基づいた、リガンド分子との高速ドッキング・シミュレーションとその解析によるドラッグ候補の絞り込み手法や、蛋白質分子モデリング、分子動力学計算による構造最適化と自由エネルギー計算の算出など、幅広い技術によって、迅速で高い精度の蛋白質・リガンド間の相互作用予測が可能となります。
メンバー紹介
東京大学
| 氏名 | 専門 | 連絡先 | |
|---|---|---|---|
| 講座責任者 | 嶋田 一夫 | 構造生物学、NMR分光法 | |
| 助教 | 西田 紀貴 | 構造生物学、分子生物学、NMR分光法 |
名古屋大学
| 氏名 | 専門 | 連絡先 | |
|---|---|---|---|
| 講座責任者 | 藤吉 好則 | 極低温電子顕微鏡法、電子線結晶学、構造生理学 | |
| 准教授 | 大嶋 篤典 | ギャップ結合、構造生物学 | |
| 特任准教授 | 廣明 洋子 | 構造生物学 | |
| 特任准教授 | 谷 一寿 | 生物物理学、電子線結晶学 | |
| 助教 | 阿部 一啓 | H+,K+-ATPase、構造生物学 | |
| 特任助教 | 入江 克雅 | イオンチャネル、構造生物学 | |
| 特定助教 | 鈴木 博視 | 構造生物学 |
大阪大学
| 氏名 | 専門 | 連絡先 | |
|---|---|---|---|
| 講座責任者 | 中村 春木 | 構造バイオインフォマティクス、生物物理学 | |
| 特任教授 | 肥後 順一 | 生物物理学、計算科学 | |
| 特任准教授 | 神谷 成敏 | 生物物理学、計算科学 |
